当院の関節リウマチ診療の特徴として
・関節リウマチの早期発見による関節破壊の予防および疼痛の消失を目的とした適切な治療を行い、免疫学的および構造的完全寛解を目指します。
・関節リウマチは関節破壊が起こる前の早期発見による適切な治療が最も重要です。なぜなら、関節破壊が進んでしまうとその後にいくら免疫的寛解を来したとしても変形、拘縮による疼痛が残ってしまうからです。過去に適切な診断、治療が受けられなかったために変形、拘縮が進んでしまい日常動作や日常生活に支障を来してしまう、そのような患者さんを少しでも減らすべく、当院では生化学分析装置、高精細関節エコー等の設備を取り入れ、早期発見に対応可能な体制を整えました。他院で関節リウマチではないと言われても左右対称性の関節痛を認める方は受診をお勧めします。
・関節リウマチは免疫の異常により滑膜に炎症を起こす疾患です。免疫異常は全身に影響をおよぼすことが多く、シェーグレン症候群や気管支喘息、その他の免疫疾患や、高血圧をはじめとした心血管疾患、糖尿病、橋本病やバセドウ病といった自己免疫性甲状腺疾患、腎疾患などといった合併症を多く抱え、他の専門科の医療機関との通院するケースが多々あることかと思います。当院の関節リウマチ診療の特色として、関節リウマチのみならず、他の合併症も考慮した総合内科としてsystematical(体系的)な診療を行っておりますので、関節リウマチ以外の内科的合併症を抱えた方も当院にて総合的に診療いたしますのでお気軽にご相談ください。
・当院では総合病院で使用するものと同等のシーメンス社製の血液検査装置、生化学分析装置を導入しました。これは最短35分で白血球分画を含めた血算、CRP、腎機能、肝機能、電解質はもとより脂質、HbA1cを含めた血糖値まで結果が出ます。そのため採血のために受診して頂くという2度手間がなくなり、薬剤もその日のうちにきめ細かく調節することが可能です。また、合併症や副作用が出た際や感染症を併発した際も迅速に対応することが可能です。また専門のスタッフによるきめ細かい対応を含め、総合病院以上のより質の高いリウマチ診療を可能としております。
・国内で認可されているすべての生物学的製剤(商品名レミケード、インフリキシマブバイオシミラー、エンブレル、エタネルセプトバイオシミラー、ヒュミラ、アダリムマブバイオシミラー、アクテムラ、ケブザラ、オレンシア、シンポニー、シムジア、ナノゾラ)に対応しております。当院では少なくとも300名以上の関節リウマチの方が生物学的製剤にて治療しております。
・万が一入院が必要な際は医療連携を通じて適切な医療機関(例:太田記念病院、足利赤十字病院他)へご紹介しております。
・その他ご質問、不明な点がございましたら遠慮なくaozorarheum@star.ocn.ne.jpにお問い合わせください。
関節リウマチとは?
関節リウマチは、全身におこる多発滑膜炎で、多くは慢性に経過します。原因は不明ですが、体質的素因に加えて何らかの外的要因によって自己の免疫状態が活性化して、全身の滑膜に炎症が引き起こされ、持続すると考えられます。
滑膜の炎症が反復、持続すると、関節を形成する骨、軟骨、腱が破壊され、関節の動きが制限されたり、変形したりします。このような変化は不可逆的であること(一度おこると元に戻らないこと)が多く、生活の支障を生じるようになってきます(機能障害)。また関節以外の骨の変化(骨粗鬆症)や全身の炎症に伴い血糖値の上昇、貧血、動脈硬化が進行しやすいことも明らかとなっています。
関節リウマチの診断、検査は?
診断は、関節所見の診察に加え、血液検査、レントゲン検査を行い、同時に他の除外診断(痛風、偽痛風、感染症、脊椎関節炎、膠原病など)を進めていきます。
ここで特異度の高いとされる抗CCP抗体が高値を示していると関節リウマチの可能性がかなり高くなります。
しかし持続した関節痛があるにも関わらず、これらの検査で異常が認められないこともしばしばあります。その際はMRIや関節エコーを行い、診察やレントゲンで捕らえられない軟骨、骨、関節包をなす滑膜の病変が検知され、早期の診断に有用であることがあります。
以上の所見をまとめ、2010年に米国、欧州などのリウマチ学会で示された分類基準よりスコアを算出し診断を行います。
6点以上で、関節リウマチと診断しますが、4点、5点の場合でも、レントゲンやMRI、関節エコーなどの所見をあわせ診断が確実と思われる場合もありますし、単関節でも滑膜組織の生検結果に加え他の除外診断を経て診断に至ることもあります。逆に診断基準を満たしても関節リウマチではないこともあり、総合的な判断が求められます。
関節リウマチの治療は?
関節リウマチの治療は、腫れたり痛んだりする関節数、血液検査のCRPやMMP-3などのマーカー、全身状態や合併症を考慮しつつ主に免疫抑制剤や免疫調節剤を用いて治療していきます。
抗リウマチ薬として、世界で最も多く使用され、またその実績が評価されている薬剤が、メトトレキセート(商品名リウマトレックス、メトトレキサート)という薬剤です。週に1日または2日に、まとめて1週間分の用量を服用します。毎日の内服ではありませんので注意してください。そのほかに、サラゾスルファピリジン(商品名アザルフィジン)やブシラミン(商品名リマチル)、イグラチモド(商品名ケアラム)、タクロリムス(商品名プログラフ)などが使用されています。
また、状態に応じて鎮痛剤やステロイド剤も使用することがあります。
これらの治療を行っても効果が不十分な場合は、生物学的製剤や分子標的低分子化合物の使用を検討します。これらの治療は適切に使用すれば関節破壊の進行を抑制し、破壊関節を修復するという既存の治療では考えられなかった大きな効果が認められます。しかし高額であるのと、慎重に取り扱わないと効果を得られるどころか副作用を生じ、代表的な副作用の例として肺炎、結核といった感染症を引き起こすというリスクもあります。
他、当院で診察している自己免疫性関節炎
関節リウマチ
リウマチ性多発筋痛症
RS3PE症候群
若年性特発性関節炎
強直性脊椎炎
乾癬性関節炎
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)に伴う関節炎
掌蹠嚢胞症性関節炎
反応性関節炎
脊椎関節炎(未分類型)
結晶誘発性関節炎
Loefgren症候群
家族性地中海熱
などの患者さんが通院されております。